里山雑想

 正月、一年ぶりに近くの低山に行った。
沢。滝、尾根道、急斜面、展望等を楽しめるという手近にしてなかなか面白いところ。入会と呼ばれ地元の共有財産区所有の今言う里山であろう。

 以前は山には絶えず人が入り、何らかの収奪がされ、ある意味で整然とした林であったはず。昭和30年代からであろうか、文明の発達で必要がなくなり、里山には人が入らなくなった。里山のシンボル、栄華を誇った大木アカマツはクヌギやコナラなどドングリの木にとって代わられ、ツルの類も縦横無人に這いまわり、人が足を入れるにも鬱蒼とした環境に変わっている。しかし、植物の遷移としては当たり前のこと、これも自然なのである。

 薪や炭材に切られなくなり、高く大きくなったドングリの木は、台風等により随所で倒れている。年々歩く人が減少し、細く荒くなっている道を通るなとばかりに塞いでいる。おまけに、今まで絶対に居なかった猪までが、生息の痕跡を残している。
炭焼き窯跡など辛うじて残る先人の形跡を見るにつけ、何とも言えない気持ちになるのは感傷的過ぎるであろうか。

 里山は中世の頃から引き継いできた文化遺産であって、「日本人の心、生き方そのもの」と聞いたことがあるが、まさにそうやなあ! 休憩しながら横に鎮座のお地蔵さんに同意を求めたが、当然、無言の笑顔であった。



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