いろんな本が、雑誌が、燻製を紹介しています。これまた、幕営とおなじく紹介する必要はないと思うのですが、敢えて 書き込んでみました。 十八番!いい加減燻製です。 独断と浅い経験に裏打ちされた内容の薄いものになったと思いますが・・・・。以後、他人の参考意見も入れて加筆修 正し、興味のある人に配布していました。今回、若干の手直しと補足も入れ、もう一度この場で発表してみた次第です。 見にくく、解かりにくいでしょうが、よろしければお付き合いください。 舞台は平成8年頃かな¿ |

| 燻製という言葉からどんなモノを思い浮かべますか?スモークサーモン、ハム・ソーセージ、イカくん・タコくん、それに鰹節・・・などでしょうか。 みんな美味しいものばかりですね。でも、意外と知られてないのは、簡単に作れることです。 たまたま、山で大釣り(とはいっても10匹ほど)したことがきっかけとなって、知り合いから借り受けた古典的な学校の教科書を手引きに燻製を作ってみ ました。 いざ出来上がってみると、姿・形もさることながら、なかなか素朴で心打つ味に仕上がり、岩魚の塩焼きやムニエルに飽きた家族にも好評でした。以後 機会あらば場所かまわず訳のわからん?燻煙を上げてます。 |
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燻製とは
| 目的 1:不漁不猟の際の貯蔵食品(燻煙の殺菌・抗菌効果) 2:独特な風味の付与(燻煙の芳香) 3:見覚による味覚の贈与(燻煙の着色作用) 種類: |
| 方法 | 燻煙温度(摂氏) | 燻煙時間 | 貯蔵性 | その他 |
| 冷燻法 | 20~30 | 1~2週間 | ○ | 貯蔵目的 |
| 温燻法 熱燻法 |
50から70 120から140 |
1~3時間 | × × |
調理目的 |
| *速燻法 | ****** | ***** | *** | 商業ベース |
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左の写真は、香料メーカーから販売されているスモークフレーバー。手軽に買える燻製商品は、この ようなものを使用しているのでしょう。そらそうでしょう。いちいちチップを燻して煙を出して・・・・・・ なんてやっていたら、値段が跳ね上がり売れません。 これを1000倍程度に希釈して、温風ドライヤーと交互に散布するとか、乾燥前の薬味液漬けの時 に混入させるとかでしょうね。 定番のスモークサーモン、イカやタコの燻製と称する珍味?をアテに、酒で味覚が麻痺しているのか 、酒飲みは「燻製はやっぱり美味い!!」なんて言うのでしょう!? アホくさっ! |
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燻製の道理 燻煙は、物理的、化学的かつ芸術的に、魚など素材に対して作用します。 |
| 作用の説明 | 作用する成分や要因など | |
| 物理的 | 燻煙時の加熱により、腐敗などの原因となる雑菌類や人間にも諸害を及ぼす寄生虫類を死滅させる。 | 牛乳の低温殺菌と同様にとらえて考えればよい(摂氏60度) |
| 化学的 | 燻煙中の成分に、殺菌・防腐作用や酸化防止作用、肉の発色作用などのある成分が含まれ、素材を殺菌した上で腐敗などの原因となる雑菌類を寄せ付けない。 | カルボン酸類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、炭化水素の類が微量成分として入り混じっており、上記のような作用をする。 |
| 芸術的 | 素材表面をコーティングし、雑菌の侵入や湿気から守るとともに、作品と呼ぶにふさわしい魚人形を作り出す。 | 炭化水素類とその誘導体である通称タール類 |
*燻煙ではないが、食塩は殺菌作用はないものの、脱水作用で間接的に殺菌/防腐作用に関係
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燻製をつくろう
1. 最低必要道具類
ストーブ |
ケロシン使用がベスト(燃焼時間が長く、燃料が格安・・・)。スベア、オプティマスなどが昔ありましたが、今もあるのかな? バーナーとボンベ一体型ガスストーブは使用厳禁!ボンベが加熱され、爆発の危険(大事故につながります)。 木炭・練炭等も工夫すれば活用できます。 |
| 20Lペール缶、一斗缶(お菓子屋さんで分けてくれます) | |
| 番線、針金、アルミホイルなど | |
| 入手できる人は摂氏180度を測定できる温度計 | |
2. 燻材の調達
| 雑木林へ行き、まず地面を見て歩きます。ドングリが発見できれば即歩くのを止め、おもむろに上の方を見上げま す。それがドングリ・ナラなどの樫木です。その太い若枝を少々拝借します。ナタやナイフで心材を細かく砕き、2 ・3日ほど乾かせば、燻材の出来上がりです。あえて、市販のチップを購入する必要はないと思います。また、岩魚 の生息域に多いブナの木なんかを使えば最高でしょうね!ただ、樹脂の多く含む松や刺激臭の強いスギなんぞは 絶対使わぬように!食べれたものではありません。 |
| 気持ちに余裕のないときは、市販のチップが、手軽に3・4の樹種を選べるので便利かもしれません。また、バリエーションとして紅茶の葉や稲の籾殻など意外と使えます。変りだねとして、市販品ですが燻製線香?も、熱源なしで発煙しつづけるので便利と言えば便利です(これを活用したのも後の方で紹介してます)。 どれも、香りに個性があって面白いです。味わいに直結します。 |
3. 素材の入手
| 「キャンプといえば釣り!」とくる人多いはず。そうです、テントサイトの傍を流れる谷川の源流で釣り上げたサケ 科の山魚 岩魚・アマゴなどが最適ですね。それも人間の人工授精という手段を経てない、純天然物が最高に 決まっているでしょう。それが何らかの要因で不可能な人は、同じサケ科でも外来魚ニジマス等を養魚場などで 分けてもらいましょう。 |

h8.7.27湖北の細流にて. りっぱな岩魚さんでした。この目で睨まれて、気迫に負けて思わずサヨウナラ?しました。
完全に位負けです。谷深く一人でいると、こんなことがあるのです。何と言うても、彼らのテリトリー内ですので・・・。
4. 釣り好きの脱線
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幸運にも自分専用?といえるような谷に行きついた時 の気分は最高です。末永く、その谷に岩魚が元気で泳い で欲しいがために、より上流に担ぎ上げるのは、岩魚釣 り師のごく自然で普通の行動と相成ります。そして、野営 の好適地が見つかったり、ワサビを他から移植して秘密 のワサビ園を作ったりと、たとえ岩魚が釣れなくとも自分 のドラマを抱えて俗界に降りていけるのも、この釣りの特 徴でしょう。 |
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| 仕事で知り合った80歳を越えた島根県匹見出身のオジンを簡単な谷に連れて行く。60年ぶりと言いながら釣るわ釣るわ!ゴッツイ仕掛けと鮒竿で!谷に入れば曲がった腰もまっすぐに?えらいもんです、人間は! | ||
5. 素材の加工
内臓の除去 |
新鮮な魚を入手するやいなや、速やかに処理します。まず、尻からエラにかけて ナイフを入れ、内臓およびエラを取り除き。次に流水中で腎臓をきれいに洗い落 とします。興味ある人は胃袋を割ってみましょう。天然物のそれらには、カゲロウ 、トビケラ、ガガンボの幼虫や成虫、アマガエル、クモ類、バッタ、トンボ、サンショ ウウオ・・・・流域を徘徊するありとあらゆる動くものが詰まっており、その山域の 生物体系の一部がわかるとともに、季節に応じて、また地域に応じて、流動的に採 餌していることで、貧栄養の水質に生き抜くしぶとさが良くわかります。 |
塩味つけ |
乾いたタオルなどで水分やヌメリを丁寧に拭きあげ、食塩をまんべんなく振りかけ ます。その量は適量で、各人の好みで加減しましょう。多く振りすぎた場合でも、 後に塩抜きすればいいのですから大胆にかつ繊細に!魚体によく摺り込んで、 そして冷蔵庫かクーラーに中へ。 より均一に塩分を魚体に含浸させたければ、食塩を振りかける代わりに、好みの濃 度の食塩水に一晩位漬けておけばよいのです。 |
乾燥 |
日陰かつ風通しのよいところで、泥棒ネコとカラスに注意しながら乾します。市販 の干し網を使用するか、紐で吊るすとよいでしょう。気温と湿気、風速に左右され ますが、試行錯誤して悩んでください。乾燥途中にちょっと割愛して、焼いて食べ ても、生のままの塩焼とはまた違った美味しさでいただけます。 *夏季などの温暖期や乾燥の手間を省きたいときは、冷蔵庫でピチットシートとか いう脱水シート が売られてるそうですが、それで少しは用をたせるみたいですね。 *乾燥後、すぐに燻煙できない場合や、後日キャンプで皆と食べよう・・・とかいう場合、 冷凍庫に入れておけば長期間保存のOk!作業の分散化でより容易な燻製作り。た だ、室温に戻す場合、密閉のまま戻します。開放で戻すと、大気中の水蒸気が冷え た魚体に凝結し、何のために乾燥したのか?になります。 |
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6.燻煙
セット |
魚の口からエラに緋もを通すなり、針金をS字状に曲げたフックを作るなりし て、ペール缶上部に半固定した番線にぶら下げます。ここで注意しなければい けないのは、魚どうしが接触しないようにすることです。いずれ食べてしまう物 ですが、食べる寸前まで美しい姿を保ちたいからです。 また腹の内部まで燻煙がまんべんなくいきわたるように、細い木切れをつっ かい棒にしておくとよいでしょう。 |
火加減 |
火加減は、始めチップが発煙しうる最小の火力に調整します。なぜなら、魚自 体の温度を急激に上げず、じわじわ上げていくことにより、魚体の中より水分を 取り除くことができ、より美味しい燻製が出来上がるからです。 始めから温度を急激に上げた場合、魚の胴体がちぎれたり、魚表面付近のみ 乾燥し内部は半生というようなことにもなりかねず、ブヨブヨの水っぽい(蒸し 焼きのような)仕上がりになってしまいます。また、酸味が出てせっかくの魚が 台無しになってしまうこともありますので気をつけましょう。 チップはなくなり次第、適時補充します。チップの削りかたが荒かったり、ス トーブの火加減が強い場合、チップが燃え出すことがあります。その場合、あ わてずにアルミホイルで蓋をして、空気(酸素の供給)をシャットすればOk。 |
| 蓋 | 魚体の温度がだんだん均一に温かくなり、また魚体よりの水分や油分が浸出し なくなったとき、ペール缶にアルミホイルで80%くらい蓋をして、燻煙による 色付け段階に入ります。順調にいけばアメ色に輝きだす頃、魚体も締まり、ヒレ もカリカリになって食べるには惜しい芸術品が出来上がることでしょう。 |
| 出来上がり | 蓋を外し、缶中の水分を追っ払い、その後ストーブを消火します。あとはご自由 に! |
7.より気軽に楽しみたい方へ
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夏期(気温が高く、風がない・・・)や、ごく気軽に釣った魚を 食べたいときなど、乾燥作業を省略する簡易燻製法がありま す。 ↓ 釣った魚をすぐに処理することは変りありません。また、塩味 の付与は時間的な余裕によって、ふり塩、食塩水漬けを選び ます。漬物のように重しを用いると、魚体への食塩の浸透が 早くなります。 ↓ 次に、魚体のヌメリ等をタオルで丁寧に拭きあげます。そし て、恒温オーブン(任意の温度で安定加熱できるもの)を使 い、摂氏180度ほどで15から20分程度加熱します。屋外で あれば、焚き火の超遠火で3・4時間ほどでしょうか。いずれ にしても、絶対に焦がさないように! ↓ 直火でもいいと思うのですが、魚体中で火側と反対の側と の温度差が大きくなり、バイメタル効果で魚体が暴れたり、 外側は焼けているのに、中は焼けていないということにもな りかねず、それを燻煙すれば、美味しくなかったり、乳酸菌燻 製にもなりかねません(線香燻煙の場合、温度が雑菌繁殖温 度付近を上下することがありますので)。加熱後、何とかして 太糸なりフックを口からエラに通します。 ↓ さて、燻製最後の段階、燻焔に入ります。ここではチップの 代わりにスモークウッドと呼ばれる線香の親分を使います。 クヌギ、リンゴ、山桜・・・いろんな樹種が売られていますが、 好み(大いに貧弱な主観を働かせて)で決めましょう。 ↓ スモークウッド(ノーカットの場合4時間ほど発煙)に点火し、 一斗缶の底に置き、魚を吊るして蓋をして作業の九分は終り です。後は好みに応じて燻製時間を気にするだけ。温度管理 はいりません。ただ、注意することは、燻煙中、魚から出る垂 れ汁により、スモークウッドが消えたり、変な臭いが出る恐れ がありますので、その対策は各自考えて下さい。 |
| 熱源のストーブを使わないので、火災や騒音などのおそれがありません。私みたいな小規模住宅はもちろんの こと、テントサイトでも気楽そのもの。また、燻煙前の加熱で雑菌や寄生虫を100%死滅に追いやり、物騒な時 世でも安心して食べれます。 |
8.反省
| 失敗は成功のもと。とにかくまずやってみて、そのときに出た問題点を次回でクリアしましょう。ここでは、あくま でも運動靴感覚の燻製の作り方を紹介しました。なぜなら、私はこれしか知りません!市販の本に見られるような 調味料のブレンドやその他、細かい技には興味がないし、する気もありません。家族や気のあった仲間達とのキャ ンプで、談笑しながら、酒を交わしながら作って食べるのだから、できるだけ簡単に作れるにこしたことはないと いう方針からです。多少、出来は悪くとも、その岩魚釣り中のドラマや情景などを、思い浮かべながら食べるのだ から、まずくはないのです。 |
9.雑感
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| 数いる淡水魚いや魚類の中で、岩魚は一番標高の高い所に住む魚、そして最も水がきれいなところに棲 む魚です。世間ではテレビなどの商売人の影響か?岩魚といえば北海道とか北米・カナダ・・・が相場と勝 手に飛躍させます。それは灯台もと暮らし!あまりにも日本航空・交通公社・ニュースステーション?的な 発想で、私はついていけません!私の岩魚釣りの地域は、近畿圏とその周辺にあり、釣り雑誌や新聞が見 捨てた、また地元の人でも首をかしげるような谷で岩魚と出会うことが愉快でたまりません! ところで我が国、日本の岩魚は、世界的に見ても貴重な存在にあるといえるらしいです。世界の岩魚の 南限がわが国、それも近畿地方にあるからなのです。正確に言えば、和歌山県龍神村の日高川支流小森 谷と竜神スカイラインを挟んで反対側の奈良県川の川原樋川支流弓手原川ですが、流域は開発と荒廃の 一途をたどりつつあり、存亡が危惧されております。はるか昔から棲み付いていた岩魚が、たった2~30年 の人為的な開発によって絶滅しようとしているのですから、なんと情けないこと。 「せやけど、人工養殖によって簡単に種を絶やすことなく防げるやないか!」という人もおられることと 思います。実際、天然岩魚が生息する地域へえらい目してたどり着き、その環境の素晴らしさを体感した 者にとっては、「なんとコバカにした話やおまへんか!」としか返せません!天然の岩魚が生息するという ことは、いかに人間の手つかずの自然が残っているかの指標であり、その自然の恵みを受けてこそ、我々 の生活は成立するということを少しは認識したものです。 これは、単に茶の間でブラウン管を温めて舌戦を飛ばすだけの御仁には、到底望めるはずありません。 この手の人間が大手を振って、趨勢を占めることは歯がゆいことです。 私は釣ってきた岩魚を他人には、特に安直な人間やライフスタイルに疑問のある人には差しあげません。 岩魚生息域を五感で実感してこそ、岩魚の本当の美味しさが分かり得るという信念に基づいたものです。 |
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![]() こんな素晴らしい魚は他にいてまへん! 上流へ逃がすまでの間、苦しいでしょうが辛抱してちょうだい |